「巨人版ヘッドホンアンプ」を使うために必要にせまられて+15Vから-15Vを作る反転コンバータを設計してたところに
オーディオスペアナを作るつもりでずいぶん前にebayで買っていた バーグラフネオン管 in-9
が到着した。
ということで
入力+15V, 150V/+-15V出力の電源を設計しよう。
電源回路トポロジー
今回設計する電源の回路トポロジーは昇圧コンバータになります。
出典: Application Report SLVA372C1
出力電力は 150V × 12mA(in-9の定格最大電流) × 14(本) = 25.2W以上, ヘッドホンアンプ用に12W と若干の余裕を見込んで39Wとする。
ニキシー管駆動用電源でよく使われている MC34063/NJM2360 はコア鳴きがうるさかったので, 制御ICはPWMコントローラのTL494 / MB3759を使うことにします。
諸元
- 最低入力電圧 $V_{IN \mathrm{(min)}} : 14 \mathrm{V}$
- 標準入力電圧 $V_{IN} : 15 \mathrm{V}$
- 最大入力電圧 $V_{IN \mathrm{(max)}} : 15 \mathrm{V}$
- 出力電圧 $V_ \mathrm{OUT} : 150 \mathrm{V}$
- ダイオードの順方向電圧 $V_F : 1.5 \mathrm{V}$
- 最大出力電力 $P_{OUT \mathrm{(max)}}: 39 \mathrm{W}$
- 効率 $\eta : 70$ %
- スイッチング周波数 $f_{sw} : 116 \mathrm{kHz}$
インダクタのインダクタンス値
資料1の通りに計算します。
最大出力電流(ヘッドホンアンプ用も含んで) $$ \begin{aligned} I_{OUT \mathrm{(max)}} &= \frac{P_{OUT \mathrm{(max)}}}{V_{OUT}} \\ &= \frac{39}{150} \\ &= 260~\mathrm{mA} \end{aligned} $$
通流率(Duty cycle) $$ \begin{aligned} D &= 1 - \frac{V_{IN \mathrm{(min)}} \times \eta}{V_{OUT}} \\ &= 1 - \frac{14 \times 0.70}{150} \\ &= 0.93 \end{aligned} $$
インダクタに流れるリプル電流 $$ \begin{aligned} \Delta I_L &= (0.2 ~~ to ~~ 0.4) \times I_{OUT \mathrm{(max)}} \times \frac{V_{OUT}}{V_{IN}} \\ &= 0.2 \times 260 \times 10^{-3} \times \frac{150}{15} \\ &= 0.52~\mathrm{A} \end{aligned} $$
インダクタのインダクタンス値 $$ \begin{aligned} L &= \frac{V_{IN} \times (V_{OUT} - V_{IN})} {\Delta I_L \times f_{sw} \times V_{OUT}} \\ &= \frac{15 \times (150 - 15)}{ 0.52 \times 114 \times 10^3 \times 150} \\ &= 228~\mathrm{\mu H} \end{aligned} $$
なんか違和感があるので
(通流率ってこうだったかな?というアレ, 実際の回路は効率が重要というのはそれはそう。)
通流率 α は(資料2より)
$$
\alpha = T_{on} \div T
$$
昇圧チョッパの通流率(Duty)は(おなじく資料2より)
$$
V_{out} = V_{in} \div ({1-\alpha})
$$
両辺をVinで割って
$$
\frac{V_{out}}{V_{in}} = \frac{1}{1-\alpha}
$$
両辺を-1乗して
$$
\left( \frac{V_{out}}{V_{in}} \right) ^ {-1} = \left( \frac{1}{1-\alpha} \right) ^ {-1}
$$
両辺を-1乗するというのは, つまりこのことで
$$ \frac{1}{\left( \frac{V_{out}}{V_{in}} \right)} = \frac{1}{\left( \frac{1}{1-\alpha} \right)} $$
$$ 1 \div {\left( \frac{V_{out}}{V_{in}} \right)} = 1 \div {\left( \frac{1}{1-\alpha} \right)} $$
分数の割り算は分母分子を入れ替ると掛け算になるので $$ 1 \times {\left( \frac{V_{in}}{V_{out}} \right)} = 1 \times {\left( \frac{1-\alpha}{1} \right)} $$
1は乗法単位元だから, 1をかける計算はそれを取り除いた式と同じで
$$
\frac{V_{in}}{V_{out}} = 1-\alpha
$$
両辺にαをたして
$$
\frac{V_{in}}{V_{out}} + \alpha = 1
$$
両辺から $\frac{V_{in}}{V_{out}}$ を引いて
$$
\alpha = 1 - \frac{V_{in}}{V_{out}}
$$
代入するとこう。
まあほとんど変わっていないけど。
$$
\alpha = 1 - \frac{15}{150} = 0.9
$$
ということで, 別の資料3も用意して計算してみます。
*** 入力電流の平均値 $I_{L \mathrm{(DC~MAX)}}$ *** $$ \begin{aligned} I_{L \mathrm{(DC~MAX)}} &= \frac{V_{OUT} \times I_{OUT \mathrm{(MAX)}}} {V_{IN \mathrm{(TYP)}} \times \eta} \\ &= \frac{P_{OUT \mathrm{(max)}}} {V_{IN \mathrm{(TYP)}} \times \eta} \\ &= \frac{39}{15 \times 0.70} \\ &= 3.7~\mathrm{A} \end{aligned} $$
インダクタに流れるリプル電流 $$ \begin{aligned} \Delta I_{L \mathrm{(P-P)}} &= (20 \% \sim 40 \%) \times I_{L \mathrm{(DC~MAX)}} \\ &= 0.2 \times 3.7 \\ &= 0.74~\mathrm{A} \end{aligned} $$
インダクタのインダクタンス値 $$ \begin{aligned} L &= \frac{V_{IN} \times (V_{OUT} + V_D - V_{IN})} {\Delta I_{L \mathrm{(P-P)}} \times f_{sw} \times (V_{OUT} + V_D)} \\ &= \frac{15 \times (150 + 1.5 - 15)}{0.74 \times 114 \times 10^3 \times (150 + 1.5)} \\ &= 160~\mathrm{\mu H} \end{aligned} $$
以上の計算からインダクタのインダクタンス$L$は $L = 200 ~\mu H$ とします。
昇圧コンバーターをブレッドボード上に試作する
- コントローラはMB3759(富士通製TL494のセカンドソース)
- ダイオードはER504(ファストリカバリーダイオード)
- インダクタにトロイダルコイル 100μH9Aを2つ接続して$200 \mathrm{\mu H}$
- 負荷にin-9を13本接続
TK30J25D / 東芝製NチャネルMOSFET
スイッチング素子: TK30J25D
- ゲート入力電荷量 $Q_g = 100 \mathrm{nC} ~~ (V_{DD} = 200 \mathrm V, V_{GS} = 10 \mathrm V, I_D = 30 \mathrm A)$
- オン抵抗 $R_{DS(ON)} = 0.046 \mathrm \Omega$
入力15.05V, 出力 151V, 134mA, だいたい 20W
ゲート抵抗 $R_g = 10 \Omega$
MB3759のタイミングキャパシタ $C_T = 2200 \mathrm{pF}$
MB3759のタイミング抵抗 $R_T = 4.7 \mathrm{k \Omega}$
スイッチング周波数$f_{osc} = \frac{1.2}{4.7 \times 0.0022} = 116 \mathrm{kHz}$
ch.1 MOSFETのゲート波形
ch.2 MOSFETのドレイン波形
結果
- $V_{in} = 15.05 \mathrm V$
- $I_{in} = 1.93 \mathrm A$
- $P_{in} = 15.05 \times 1.93 = 29.05 \mathrm W$
- $V_{out} = 150 \mathrm V$
- $I_{out} = 0.135 \mathrm A$
- $P_{out} = 150 \times 0.135 = 20.25 \mathrm W$
- 効率 $\eta = P_{out} \div P_{in} = 20.25 \div 29.05 = 0.70$
効率70%は雑に決めた値が当たった。 インダクタは触れられないくらいの温度になるがヒートシンクはまだ触れられる。
損失
$$
\begin{aligned}
P_d &= R_{DS(ON)} \cdot I_{avg} \\
&= 0.046 \times 1.93 \mathrm A \\
&= 88.8 \mathrm {mW}
\end{aligned}
$$
これの他に過度損失があるけどかんがえない。
ゲートドライブ電力
$$
\begin{aligned}
P_{dg} &= Q_g \cdot V_{GS} \cdot f_{sw} \\
P_{dg} &= 100 \times 10 ^ {-9} \times 15 \times 116 \times 10^{3} \\
&= 174 \mathrm {mW}
\end{aligned}
$$
うーん。チェンジ
TK13E25D / 東芝製NチャネルMOSFET
スイッチング素子: TK13E25D
ゲート入力電荷量 $Q_g = 25 \mathrm{nC} ~~ (V_{DD} = 200 \mathrm V, V_{GS} = 10 \mathrm V, I_D = 13 \mathrm A)$
オン抵抗 $R_{DS(ON)} = 0.19 \mathrm \Omega$
ch.1 MOSFETのゲート波形
ch.2 MOSFETのドレイン波形
結果
- $V_{in} = 15.05 \mathrm V$
- $I_{in} = 1.90 \mathrm A$
- $P_{in} = 15.05 \times 1.90 = 28.6 \mathrm W$
- $V_{out} = 150 \mathrm V$
- $I_{out} = 0.134 \mathrm A$
- $P_{out} = 150 \times 0.135 = 20.1 \mathrm W$
- 効率 $\eta = P_{out} \div P_{in} = 20.1 \div 28.6 = 0.70$
損失
$$
\begin{aligned}
P_d &= 0.19 \times 1.90 \mathrm A \\
&= 361 \mathrm {mW}
\end{aligned}
$$
これの他に過度損失があるけどかんがえない。
ゲートドライブ電力
$$
\begin{aligned}
P_{dg} &= 25 \times 10 ^ {-9} \times 15 \times 116 \times 10^{3} \\
&= 43.5 \mathrm {mW}
\end{aligned}
$$
トランス設計
ここから本来の目的である正負15V電源の設計。
試作した昇圧コンバーターのインダクタをギャップ付きトランスにして2次側巻き線から正負15Vを取り出す。
トランス1次側はMB3759で安定化しているので, トランス2次側の非安定化出力を可飽和リアクトル(マグアンプ)で安定化する。
検索すると東芝フェライト製 MT12S115 がアマゾンにあったのでそれを使う。
計算からトランスの1次側インダクタンスは $L = 200 \mu H$。
- 入力電圧 $V_{in} : 15 \mathrm{V}$
- 出力電圧(非絶縁, in-9用) $V_{out1} : 150 \mathrm{V}$
- 出力電圧(入出力間絶縁, ヘッドホンアンプ用) $V_{out2} : +15 \mathrm{V}, 0.3 \mathrm{A}$
- 出力電圧(入出力間絶縁, ヘッドホンアンプ用) $V_{out3} : -15 \mathrm{V}, 0.3 \mathrm{A}$
- 出力電圧 $V_{out} : 150 \mathrm{V}$
- ダイオードの順方向電圧 $V_F : 1.5 \mathrm{V}$
- 出力電力 $P_o: 30 \mathrm{W}$
- 効率 $\eta : 70$ %
- スイッチング周波数 $f_{sw} : 116 \mathrm{kHz}$
- 通流率(Duty cycle) $D : 0.93$
- インダクタのインダクタンス $L : 200 \mu H$
TDK PC44PQ32/30コアを使いますが,
PC44 PQ32/30コアのデーターシートが見つからないのでPC47PQ32/30コアのデーターシートを代わりに使います。
(ギャップ付きトランスなのでコア材の差は大きく影響しなくなると思う)
PC47PQ32/30Z 性能諸元
- 実効断面積 $A_e = 161 ~\mathrm{mm^2}$
- AL値(ギャップ付) $AL_\text{value} = 160 ~\mathrm{nH / N^2}$
一次側巻線数Npの算出
$AL_\text{value} = 200~\mathrm{nH / turns^2}$ とすると
$ \begin{aligned} N_p &= \sqrt{\frac{L_p}{AL_\text{value}}} \\ &= \sqrt{\frac{200 ~\mathrm{\mu H}}{200 ~\mathrm{nH / turns^2}}} \\ &= \sqrt{\frac{200 ~\mathrm{\mu H}}{0.2 ~\mathrm{\mu H / turns^2}}} \\ &= 31.6 ~\mathrm{turns} \\ &\Rightarrow {N_p\text{は32ターン}} \end{aligned} $
$ \begin{aligned} L_p &= 200 ~ \mathrm{\mu H} = 200 000 ~ \mathrm{nH}\ N_p &= 32 ~ \mathrm{turns} \ AL_\text{value} &= 200 000 / 32^2 = 195.3 ~ \mathrm{nH / turns^2} \ NI &= N_p \times I_ppk \ &= 32~\mathrm{turns} \times 3.377~\mathrm{A} \ &= 108.064~\mathrm{A \cdot turns} \end{aligned} $
うーん。もうちょっと。
$AL_\text{value} = 400~\mathrm{nH / turns^2}$ とすると
$ \begin{aligned} N_p &= \sqrt{\frac{L_p}{AL_\text{value}}} \\ &= \sqrt{\frac{200 ~\mathrm{\mu H}}{400 ~\mathrm{nH / turns^2}}} \\ &= \sqrt{\frac{200 ~\mathrm{\mu H}}{0.4 ~\mathrm{\mu H / turns^2}}} \\ &= 22.4 ~\mathrm{turns} \\ &\Rightarrow {N_p\text{は23ターン}} \end{aligned} $
$ \begin{aligned} L_p &= 200 ~ \mathrm{\mu H} = 200 000 ~ \mathrm{nH}\ N_p &= 23 ~ \mathrm{turns} \ AL_\text{value} &= 200 000 / 23^2 = 378 ~ \mathrm{nH / turns^2} \ NI &= N_p \times I_ppk \ &= 23~\mathrm{turns} \times 3.377~\mathrm{A} \ &= 77.671~\mathrm{A \cdot turns} \end{aligned} $
これでいいや。
二次側巻線数Ns1, Ns2の算出
とりあえず $N_{s1} = N_{s2} = 6~\mathrm{turns}$ とする。
トランス設計(構造設計)
資料4のとおりに進める。
ボビンの選定
CPV-PQ32/30を使うことにする。
出典: CPV-PQ32/30-1S-12P-Z Drawing
有効巻枠の確認
- 巻き幅 18.67mm
- 巻き高さ (26.57mm - 13.97mm) / 2 = 6.3mm
沿面距離とバリアテープ
- 動作電圧: 200V
- 汚染度合: 2
- 材料群:Ⅲa(CTI<400)
- IEC60950に基づく必要な最低沿面距離
基礎絶縁:2.0mm
強化絶縁:4.0mm(基礎絶縁×2) ←今回の設計では強化絶縁とする
ボビンの有効巻き幅は上下のバリアテープの幅を2mm,4mm確保して $18.67 - 2.0 - 4.0 = 12.67 \mathrm{mm}$
線材の選定
ここから資料5のとおりに進める。
計算がめんどくさくなったので, トランスの一次側電流はだいたい $4 \mathrm A$ に決めた。
一次側巻き線線径(3並列)
$ \text{線径} = 2 \times \sqrt{\frac{\text{実効電流}}{\text{巻線本数} \times \pi \times \text{電流密度}}} $
今回は電流密度は $7~\mathrm{A/mm^2}$, 3並列 として
$ \phi_{Np} = 2 \times \sqrt{\frac{4}{3 \times \pi \times 7}} = 0.49 \mathrm{mm} $
となるので, 使用線材はマグネットワイヤ 2種UEW0.5mm(最大仕上がり外形 0.542mm)とする。
ワイヤをボビンの巻き幅いっぱいに巻くと(巻き幅に1%の余裕を見込んで)
$$ \frac{12.67}{0.542 \times 1.01} = 23 \mathrm{turns} $$
丁度よろしい。
(実際はこうなるために条件をいじりました)
二次側巻き線線径
使用線材は2UEW0.6mmとする。
トランス仕様決定
23turnsを3で割ると半端が出る加減で4層に分割する。
よって1層6turn巻きを4層トリファイラ巻きで1次側24turnsにする。
- 1層目: 1次側, UEW0.5, 6回巻き, 3並列巻線
- 2層目: 1次側, UEW0.5, 6回巻き, 3並列巻線
- 3層目: 1次側, UEW0.5, 6回巻き, 3並列巻線
- 4層目: 1次側, UEW0.5, 6回巻き, 3並列巻線
- 5層目: 2次側, UEW0.6, 6回巻き, 2セット
すべての巻き線は上から見て時計回りの方向に巻く。
ギャップ長の算出
- $N_p = 24 \mathrm{turns}$
- $L_p = 200 \mathrm{\mu H} = 200000 \mathrm{nH}$
$ \begin{aligned} AL_\text{value} &= \frac{L_p}{ {N_p} ^ 2 } \\ &= \frac{200000}{ 24 ^ 2 } \\ &= 347 \mathrm{nH / turns^2} \end{aligned} $
なのでAL-value vs エアギャップ長のグラフから
0.6mm(Center pole gap)のようだ。
いちおう計算すると
(真空の透磁率$\mu_0 = 4 \pi \times 10^{-7}$)
$ \begin{aligned} \ell_g &= \frac{\mu_0 \times A_e \times N_p ~ ^2}{L} \\ &= \frac{4 \pi \times 10^{-7} \times 161 \times 10^{-6} \times 24^2}{200 \times 10^{-6}} \\ &= \frac{4 \pi \times 161 \times 24^2}{200} \times \frac{10^{-7} \times 10^{-6}}{10^{-6}} \\ &= \frac{370944}{200} \pi \times \frac{10^{-7} \times \cancel{10^{-6}}}{\cancel{10^{-6}}} \\ &= 1855 \times \pi \times 10^{-7} \\ &= 5828 \times 10^{-4} \times 10^{-3}\\ &= 0.58 \times 10^{-3} ~\mathrm{m} \\ &= 0.58 ~\mathrm{mm} ~ \text{(Center pole gap)}, 0.29 ~\mathrm{mm} ~ \text{(Spacer gap)} \end{aligned} $
「ポリエステルフィルム粘着テープ No.631S #25 黄色」の厚みは0.05mmなので
$0.29 \div 0.05 = 5.8$ となって, コア間に6枚重ねることにする。
トランス製作
バリアテープは「コンビネーション粘着テープ673F 0.27」を
層間絶縁テープは「ポリエステルフィルム粘着テープ No.631S #25 黄色」を
使います。
てきとうに選んだコアだからか巻き線スペースがもう1層できるくらい余ってしまった。
もったいないけどもういい。
インダクタンス測定
製作したトランスの1次側インダクタンスをLCRメータで測定すると $217.3 ~ \mathrm{\mu H}$ となった。
だいたい設計通りの値に収まった。
直流抵抗測定
製作したトランスの1次側抵抗は1巻線を代表ではかると $0.134 \Omega$ となった。 それが3並列あるので $R = 0.134 \div 3 = 0.05 \Omega$ となる(はず)。
製作したトランスで昇圧コンバーターをブレッドボード上に試作する
スイッチング素子: TK13E25D
- ch.1 MOSFETのゲート波形
- ch.2 MOSFETのドレイン波形
結果
- $V_{in} = 15.05 \mathrm V$
- $I_{in} = 1.70 \mathrm A$
- $P_{in} = 15.05 \times 1.70 = 25.6 \mathrm W$
- $V_{out} = 150.6 \mathrm V$
- $I_{out} = 0.136 \mathrm A$
- $P_{out} = 150.6 \times 0.136 = 20.5 \mathrm W$
- 効率 $\eta = P_{out} \div P_{in} = 20.5 \div 25.6 = 0.80$
効率 $\eta = 80 %$ 達成!!
電源装置をブレッドボード上に試作する
こんな感じです。
スイッチング素子: TK13E25D
150V出力しながら, +-15V正負両電源もきちんと制御できている。
巨人版ヘッドホンアンプキットを接続して音を聞いてみると
一言でいうと「透明」かな。
しかしながら無音の時のノイズが気になる。
このノイズはヘッドホンを耳から外しても鳴っているので, 試しに部品をおさえてみるとましになった。
昇圧コンバーターの回路トポロジーの関係で放熱板がホットエンドになるし, トランスにショートリングを入れていないから漏れ磁束が周囲の電線と鎖交しているでしょうね。
また今度基板に実装しましょ。